背中のニキビ跡の原因や症状、対処法などをご紹介します。
背中にできるニキビは、顔などの他の部位と比べると見えにくい場所なので、気づいたときにはすでに悪化していることが多々あります。
ニキビは見た目だけでなく、放置すると跡が残り改善が難しくなることがあります。
背中のニキビ跡は肌に傷跡が原因
ニキビが治った後に残る赤みや色素沈着、クレーターなどは肌に長く残ることがあるため、早めに適切な対応をする必要があります。
ニキビは、皮脂腺が発達した「脂腺性毛包」にできるため、顔だけでなく、背中や胸、首などにも発生しやすい病気です。
ニキビができやすい部位の中でも特に背中は自分では見えにくいため、ニキビができても気付くのが遅くなり、ともなってニキビが悪化することがあります。
背中のニキビは気づきにくくニキビ跡(瘢痕・傷跡)になりやすい
背中のニキビは顔のニキビと違って目に見えないため、発症してから気付くまでに時間がかかることがあります。その結果、対処が遅れて瘢痕や傷跡といったニキビ跡として残ることに。
さらに、背中は皮脂分泌量が多く、毛穴が詰まりやすい部位です。
そのため、ニキビができやすいだけでなくニキビ跡として残る可能性も高くなります。
日常的に背中のスキンケアをすることが大切ですが、見えにくい分おろそかになったりケアを忘れたりすることもあるでしょう。
その場合は、顔のスキンケアをした後に背中のケアをする、夜寝る前に背中のスキンケアをするルーティーンをつくる、など忘れない工夫をしてケアを行いましょう。
背中の皮脂が毛穴に詰まり炎症を起こした傷がニキビ跡になる
背中は、皮脂の分泌が活発な部位で、毛穴に皮脂が詰まることでニキビが発生しやすくなります。
背中のニキビは炎症を起こしやすく、ケアをしないと傷や傷跡(ニキビ跡)として残ることがあります。
毛穴に詰まった皮脂が炎症を引き起こすことで、肌の深層にダメージが及び、結果的にニキビ跡として残るのです。
皮脂が毛穴に詰まることを防ぐためには、次のケアがおすすめです。
・ぬるま湯で洗う
・洗った後にしっかりと保湿を行う
背中の皮脂分泌を抑えるためのケアを行い、ニキビを発生させない肌を目指しましょう。
背中のニキビができる原因は他の部位と異なる
背中にニキビができる原因は、他の部位とは違った理由があります。
自分の目で見えない、自分で手が届きにくいという場所の特徴上、洗い残しやスキンケアの不十分さが原因で発症します。
ここでは、背中にニキビができる原因について詳しくご紹介します。
洗髪時の流し残し・背中の洗い残しの刺激
洗髪時にシャンプーやリンスをしっかりと洗い流さないと、背中の皮膚に残り、刺激を与えます。
また、洗い残したシャンプーやリンスが毛穴が詰まり、ニキビが発生する原因になります。
背中は自分で洗うのが難しい部分で十分に流しきれないことが多いため、皮脂や汚れが残ります。
これが背中にニキビができやすい一因で、特に敏感肌の人は注意が必要です。
スキンケアがおろそかになり乾燥へ
ほとんどの方が毎日顔のスキンケアしているでしょう。しかし、背中のスキンケアを行なっている方は少ないかもしれません。
背中のスキンケアも行わないと、乾燥しやすくバリア機能が低下してしまいます。
そして、肌が乾燥してしまうと皮脂の分泌が過剰になり、ニキビが発生する原因となります。
また、背中は衣服で覆われるため、蒸れやすい部位です。この蒸れが雑菌の繁殖を促す上に、衣服と肌に間に摩擦が起こり肌に刺激が加わるため、毛穴が詰まる原因に。
背中は見にくく届きにくい部位であるため、スキンケアには時間がかかり面倒に感じるかもしれませんが、顔と同じように丁寧にケアすることが重要です。
背中のニキビ跡の主な症状
背中の肌は、顔に比べてターンオーバーの周期が長いため、一度できた色素沈着が長く残り、ニキビ跡に変化します。
ニキビによる炎症が起こると、周囲の皮膚にある「メラノサイト」というメラニンを生成する細胞が活性化し、色素沈着につながります。
そのため、背中のニキビ跡は放置すると長期にわたって色素沈着や赤みが残ることがあるため、気付いた段階ですぐに対処する必要があります。
黒ずみが残る炎症後色素沈着
背中にできたニキビが治った後、黒ずみが残ることがあります。
これは炎症後の色素沈着と呼ばれ、ニキビの炎症によってメラニンが過剰に生成され、肌に色素が沈着するからです。
この色素沈着は肌の色が濃い部分や、ニキビが繰り返しできた箇所で起こりやすい傾向があります
時間が経つと徐々に薄くなりますが、完全に消えるまでには数ヶ月〜数年かかることがあるため、見た目を気にする方にとっては長期間悩みのタネになることも。
もしもニキビによる色素沈着をしてしまった場合は、日焼け止めを使用したり美白ケアをすることがおすすめです。
赤みが残る炎症後紅斑
ニキビの状態の時と同じように、赤みとなって残ることがあります。
「炎症後紅斑」といい、炎症によって拡張した毛細血管が元に戻らずに肌表面に赤みとして残っている状態です。
肌が薄い部分や刺激を受けやすい部位で目立ちやすく、冬場の乾燥や外的からの刺激によってさらに悪化することがあります。
黒ずみと同様に、時間とともに薄れていくことが多いですが、早く治療をすることでより早い改善が期待できます。
ケロイド状に盛り上がった肥厚性瘢痕
背中のニキビ跡は、ケロイド状に盛り上がった肥厚性瘢痕となって形成されることがあります。
背中の上部は、他の部分と比べて皮膚が厚く刺激を受けやすいため、肥厚性瘢痕ができやすいと言われています。肥厚性瘢痕は、過剰なコラーゲン生成によって皮膚が過度に再生され、盛り上がった硬い組織が形成されることで生じます。この瘢痕は時間が経つにつれて目立ちにくくなることもありますが、完全に消えることは稀であり、医療的な治療が必要となる場合もあります。
陥凹した萎縮性瘢痕(クレーター)
ニキビが深部の皮膚層までダメージを与えると、治癒後に陥凹した萎縮性瘢痕(クレーター)が残ることがあります。
クレーターが発生すると肌がデコボコとして見えるため、見た目に大きな影響を与えます。
背中の上部は皮脂腺が活発で特にニキビができやすい部位です。そのため、クレーター状の瘢痕が形成されやすく、完治までに時間がかかるどころか自然に治ることは少ないとされています。
この場合は自己処理ではなくすぐに専門家に相談することがおすすめです。
背中のニキビを悪化させないためのケア方法
背中のニキビを悪化させないためには、日頃から意識して対策することが重要です。ただ、難しいことをする必要はなく、今日から始められることが多くあります。
ここでは、ニキビの悪化対策としてできることをご紹介します。
髪や体の洗い方を工夫する
背中のニキビを悪化させないためには、シャンプーやリンスの流し残しがないように洗い流すことが大切です。
上から洗い流すことで洗い残しが防げるため、先に髪を洗って次に体を洗う順番にすることで、背中に残ったシャンプーやリンスを洗い流すことができます。
また、肌への負担を減らすために柔らかいタオルやスポンジを使ってゴシゴシ擦らずに優しく洗いましょう。
背中に保湿クリームを塗る
ニキビができた背中の肌は、乾燥が進むとバリア機能が低下するため、さらにニキビが悪化する可能性があります。
そのため、お風呂から出たらすぐに保湿クリームを塗ることで、肌の乾燥を防いでバリア機能を保つことができます。
保湿クリームにはさまざまな種類がありますが、ベタつかないタイプのクリームやジェルを選ぶと、ベタつきに不快感を抱く方でも快適です。
衣類や寝具はこまめに洗濯し清潔に保つ
背中のニキビを悪化させないために衣類や寝具をこまめに洗濯して常に清潔に保つことが大切です。
汗や皮脂が付着した衣類や寝具は雑菌の温床となり、ニキビを悪化させる原因となります。
特に夏場は汗をかいたり、皮脂が多く分泌されたりとニキビの原因となる状況をつくりやすい季節です。
また、季節に関係なく人間は知らないうちに思った以上に汗をかいていると言われています。
直接肌に触れる部分には通気性の良い素材を選ぶと、蒸れを防げるため、ニキビの発生リスクを減らすことができます。
背中も紫外線対策をする
背中の肌も、顔と同じように紫外線対策を行うことが重要です。
紫外線は肌にダメージを与えるため、ニキビ跡が色素沈着として残る原因になることがあります。
夏場は露出の多い服装になることが多いため、背中は日差しにさらされてダメージを受けることがあります。そのため、外出する際は日焼け止めを塗ることを忘れないようにしましょう。
塗るタイプだと均一に日焼け止め対策ができないので、広範囲に塗れるスプレータイプの日焼け止めがおすすめです。
紫外線対策をしっかり行い、ニキビ跡の残らない肌を目指しましょう。
背中のニキビと似ている病気
背中にできるブツブツや炎症は、パッと見るとニキビに似ているため、ニキビだと思ってしまうことがよくあります。
しかし、背中の皮膚にできるニキビのような炎症には、実はニキビではない病気の可能性があります。
見た目はニキビと似ているため気付きにくいですが、どのような病気が考えられるかを知ることでいざという時に正しい対処ができるようにしましょう。
皮膚に常在するカビが増殖してできる「マラセチア毛包炎」
マラセチア毛包炎は、皮膚に常在するカビの一種であるマラセチアが毛穴に感染して炎症を引き起こす病気です。ニキビのような小さな赤いブツブツが背中や胸にできます。
ニキビと違うのは、抗真菌薬による治療が必要な点です。症状が長引いたり自己処理では解決しなかったりとしぶといことが多いため、専門家による治療を受けることがおすすめです。
ニキビと同様に湿気や汗をかきやすい環境下で悪化しやすいため、清潔を保つようにしましょう。
皮膚にできるできもの「皮膚腫瘍(おでき)」
皮膚腫瘍は、皮膚にできるできもので、良性のものと悪性のものがあります。
背中にできる皮膚腫瘍は、次のようなものが挙げられます。
・ほくろ
・いぼ
・脂肪腫
上記はいずれも良性のもので、痛みを伴わず、見た目が気になる場合は手術によって除去することができます。
粉瘤は皮脂腺が詰まりって内側に老廃物が溜まることで形成される一方で、脂肪腫は皮下に脂肪が蓄積してできる柔らかい塊のことです。
基本的に害はありませんが、大きくなったり炎症を起こしたりすることがあるため、気になる変化が起こった場合はすぐに専門家に相談するようにしましょう。
いつまで経っても症状が引かない背中のニキビには注意が必要
背中にできたニキビがなかなか治らない場合、ただの肌トラブルではなく他の原因が絡んでいる可能性があります。
症状が長期間続く場合は、内臓の疲れや疾患が原因となっていることも。
軽度のニキビの場合でも放置することで悪化する恐れがあるため、「放っておけば治るだろう」と侮ってはいけません。
ここでは、他に考えられる原因や対策方法についてご紹介します。
内臓の疲れ、不調、疾患が原因になる場合がある
背中のニキビがいつまでも治らない場合、内臓の疲れや不調、疾患が原因となっていることがあります。ニキビは体のどこかの不調のサインと言われているほどです。
具体的な内容は次のとおりです。
・水分が不足するとターンオーバーが乱れてニキビとして現れる
上記のように、単に肌トラブルが原因でニキビができるのではなく、一見関係なさそうな部分の不調がニキビとして現れることがあります。
「最近ストレスを感じてるからか、ニキビがよくできる…」なんて会話をしたことがある方は多いと思いますが、まさにストレスが原因でニキビができることもよくあります。
軽度な場合は十分な睡眠や休養で改善する場合もある
軽度な背中のニキビであれば、十分な睡眠や休養を取ることで改善することがあります。
ストレスや疲労が原因でニキビが悪化することがあるため、生活習慣の見直しが有効です。規則正しい生活を心がけることで、肌の回復を促進し、ニキビの改善に繋がります。
自己判断せず早めにクリニックを受診
背中のニキビが長引く場合は自己判断や自己処理をせずに、早めに専門家に相談しましょう。
放置して治るケースもありますが、どれだけ待っても症状が改善しない場合は、すでに色素沈着が起こって治療も長引く場合があります。
少しでも気になる場合はすぐに適切な治療を受けるようにしましょう。
背中のニキビ跡は美容皮膚科に相談
背中のニキビ跡は顔にできるニキビほどは目立たないため、そこまで見た目に影響を与えませんが、色素沈着して残ってしまうと気分が下がってしまいますよね。
そのため、気付いた段階でできるだけ早く改善に努めることがおすすめです。
ここでは、フォーシーズンズ美容皮膚科で行なっている、背中のニキビにおすすめの施術についてご紹介します。
ACRS(自己血サイトカインリッチ)療法
ACRS療法は、患者さまご自身の血液から抽出した成長因子と抗炎症性サイトカインを活用する、背中のニキビやニキビ跡に対して効果が期待できる治療法です。
背中の肌のトラブルを改善して肌の再生力を高めることで、ニキビの痕跡や毛穴の開き、肌のハリや弾力の向上を促します。
背中のニキビやニキビ跡で悩んでいる方に特におすすめで、炎症を抑えながら肌細胞を活性化し、自然な皮膚の再生を取り戻す効果が期待できます。
患者さまの血液から必要な成分を濃縮して抽出し、その血清を背中の皮膚に注入するため、肌トラブルを根本から改善して元々の肌を取り戻せるでしょう。
背中のニキビだけでなく老化や肌のダメージが気になる方にもおすすめで、ナチュラルな美しさを引き出し、気になる部分を改善することができます。
PRP皮膚再生療法
PRP皮膚再生療法は、患者さま自身の血液を利用した自然なアンチエイジング治療法で、背中のニキビやニキビ跡の改善におすすめです。
PRP(多血小板血漿)は、組織再生を促進するサイトカインが豊富に含まれていて、自己治癒力を高める効果が期待できます。
背中のニキビ跡の改善や毛穴の状態の向上はもちろん、シワやたるみの改善にも効果も期待できます。
PRPを真皮層に注入することで、線維芽細胞が活性化し、背中の肌の若返りを促します。
化学成分を一切使用せずに純粋な自己血小板のみを使用するため、自然で若々しい肌を目指せます。
幹細胞治療
幹細胞治療は、患者さまの肌細胞を利用して、背中の肌の若返りと再生を図る治療法です。
背中のニキビ跡の修復や毛穴の改善、シワやたるみの減少など、さまざまな肌トラブルに対応しています。
患者さま自身の肌細胞を培養して問題のある背中の部位に移植するため、自分の肌のまま、細胞レベルでの肌質改善と再生が期待できます。
幹細胞治療は、自然なエイジングケアを求める方や、老化に伴う肌の変化に対処したい方にもおすすめです。
背中のニキビは気付きにくいため、気付いた時にはすでに色素沈着が始まっていた…なんてことがあり得ます。
もし、背中のニキビやニキビ跡についてお悩みの方はフォーシーズンズ美容皮膚科にご相談ください。
脇田尚子 先生
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過去に様々な皮膚科で活躍した経歴を持つ皮膚科医。現在はフォーシーズンズ美容皮膚科 神戸院の院長を務めている。
▼勤務経験
神戸大学病院皮膚科
神戸西市民病院皮膚科
兵庫県立加古川医療センター皮膚科
東神戸病院皮膚科
フォーシーズンズ美容皮膚科